――ゆらり、まるで、やさしい生き物。

埃を被った古い机、キャンバスのないイーゼルに、歪んで隙間が空いた窓。
遠くには小さく、青。青。海。

ここは、わたしの祖父母が暮らしていた家らしい。
らしいというのは、それを知ったのはつい数分前で、
わたしはふたりの顔も名前も、何もかもを知らないからだ。
収集家を名乗る胡散臭い女は、絵描きだった祖父が最後に描いた絵を探しているという。

薄暗い部屋の中でふたりの人生の痕跡を辿るうちに、わたしはわたしの存在を考える。

おはよう、ただいま、ごめんね、さよなら。
名前を呼んでと、声がした。

《作/演出》
畠山 由貴

《出演》
阿部 星来
工藤 舞子
宮崎 安津乃

ウメツ ケンイチ(ex.fiction)
国門 綾花(COLORE)
恒本 寛之(COLORE)

武藤 早紀

2017/11/23 11/24 11/25 11/26 レッドベリースタジオ



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